Yamazaki Mazak Singapore Pte Ltd
名刺情報を組織の共有資産に
国を超えた顧客接点の可視化で
新たな営業のカタチを創出
CNC工作機械・自動化システム・生産支援ソフトウェア・レーザ加工機等の開発・生産・販売・輸出を行い、生産工場は国内外に11ヵ所、サポート拠点は世界87ヵ所に構えるヤマザキマザック株式会社。その子会社である Yamazaki Mazak Singapore Pte Ltd では、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシアの5ヵ国で Sansan の導入・運用を行っています。名刺情報の共有資産化による各拠点間の影響や運用のコツについて伺いました。
目 的
- 名刺情報の共有資産化
- 顧客接点と営業活動の情報共有における営業力強化
- 営業案件の効率的なマネージメント
課 題
- 顧客接点が属人的に管理されているため共有/継承されにくい
- ASEAN域内における情報共有プラットフォームがない
- 営業案件の数値やステータスの管理に時間がかかっている
効 果
- 顧客接点のデータベース化と社内人脈の可視化
- 情報共有レベルの向上による営業機会の創出
- リアルタイムかつ効率的な営業案件情報の管理
たとえ担当者が異動で持ち場を離れても、
後日、聞き取りが可能に
[ お話を伺った方 ]
Deputy Managing Director 森山達郎様
属人性の高い名刺情報を、組織の共有財産として
活用しようという試みからスタートしました
事業内容について
ヤマザキマザック株式会社は、愛知県丹羽郡大口町に本社を置く大手工作機械メーカーです。CNC旋盤からマシニングセンタ、レーザ加工機、複合加工機、5軸加工機、ハイブリッド加工機まで幅広い製品ラインナップを揃えるとともに、自動化やIoTの導入など多彩なソリューションの提案も行っています。総従業員数は国内外に約8,700人。全世界に87ヵ所のサポート拠点、11ヵ所の生産工場を展開しています。このうち、シンガポール法人の Yamazaki Mazak Singapore Pte Ltd は、東南アジア市場及びインド市場の統括拠点として機能しています。
属人性の高い名刺情報を組織の共有資産に
名刺管理サービス「Sansan」は2022年5月から利用を開始しました。その半年ほど前、私が Deputy Managing Director としてシンガポール法人に赴任したのが導入のきっかけです。東南アジア市場及びインド市場の営業統括として赴任しましたが、各国の営業マンのデイリーの動きがわからない、またどのようなお客様と日々向き合っているのかがわかりませんでした。そこで、まずは営業担当者一人一人の中だけに止まっていた属人性の高い名刺情報を、組織の共有財産として活用しようという試みからスタートしました。
名刺情報のデータベース化は、専用の読み取り機やスマートフォンを利用して読み取るところから始まります。名刺上の情報をただ読み取るだけではありません。いつ、どの部署のだれが(どういった立場や肩書きの人が)データ入力したかも合わせて記録されます。これにより、どの部署のどの人物が担当したのかが明確になるとともに、その担当者が仮に社内異動で持ち場を離れたとしても、当時どのような経緯があったのか後日、聞き取りを行うことも可能となります。
この国でこの企業に対して既に接点があることが分かれば、
別の海外拠点で更なる営業展開が測れる可能性があります
顧客接点の可視化で
人脈を見つめ直すきっかけに
多国籍展開されている取引先であれば、国境を超え効果はさらに高まります。名刺情報は、どの顧客に対して、いつごろ、誰が接触したのかが組織図の形態で 一目で分かるように構成されています。今までは見えていなかった、営業担当の過去の接点情報や役員の人脈を活用しない手はありません。この国でこの企業に対して既に接点がある、ということが分かれば、紹介依頼等を通して別の海外拠点で更なる営業展開が図れる可能性も見込まれるからです。
レポート機能
〜商談情報の共有により新たな営業のカタチを創出〜
また、名刺という接点の情報だけではなく、いつどのような商談を行ったのかというレポートも登録することで更なる可能性を引き出すことが可能になります。弊社では、商談をした際に必ず名刺に紐付けて商談内容も登録する運用を行っており、新規顧客なのか既存顧客なのか、どのような商談であったのか、持ち帰りはあるかなどを入力出来るようなフォーマットを用意しています。
実際に直近であったエピソードで、この商談情報共有の効果を実感する事案がありました。インドネシアで担当営業が新規取引先の開拓を行っていたのですが、今ひとつ先方を納得させるだけの試みができずにいました。このままでは受注に至るには難しいかも、そう思った矢先のことでした。レポートの情報を通じてタイで先方のグループ企業と成約に至ったことが分かったのです。何か営業のヒントが掴めるかもしれない。そう判断し、早速指示を出しました。普段ならあまり接点のないインドネシアとタイの営業担当者たち。連絡を取り合うようになり、お客様への理解も深まりました。
得られたのはそれだけではありません。何よりも、こうした情報共有を行うことによって実現し得る新たな営業のカタチについても認識を持つことができました。
接点の少ない部署同士の情報共有で、新たな営業のカタチについて認識を持てました/森山達郎様
管理職が率先してレポートに反応することで
組織全体の情報共有の活性化にもつながっていると感じます
メッセージ機能
〜コミュニケーションツールとしての活用〜
Sansan を使用する中で、さまざまな機能の有益性にも着目するようになりました。例えば、メッセージ機能。上述のレポートは入力すると直ちにデータベースに反映され、リアルタイムでマネージャー以上のメンバーに共有される設計をしています。そのレポートに対し、マネージャーがアドバイスなどのコメントを折り返し書き込むことも可能です。学生のレポートに担当教官がコメントを書き込むイメージです。コメントとまではいかなくとも、SNS にあるような「いいね」ボタンを押すことで、「お疲れ様」の気持ちを伝えることもできます。営業スタッフも、せっかく書き込んだレポートに何の反応もなければモチベーションも上がりません。「見ていますよ」と暗に伝えることで、組織全体の情報共有の活性化にもつながっていると感じます。
導入初期は、私をはじめ管理職が率先して名刺情報の読み取りを行ったほか、コメント入力、いいねボタンのクリックなどに心を配ってきました。最初は渋々、あるいは要領が分からずに入力を行っていた営業スタッフたちも次第に慣れ、その効用に気付くようになりました。今ではすっかり定着したと言っていいでしょう。
案件管理
〜リアルタイムで数値やステータスのマネジメントが可能に〜
もう一つ Sansan で積極的に活用している機能として、案件管理機能が挙げられます。営業案件/プロジェクト単位で情報を管理出来るので、当該案件の進捗把握や、来月、再来月にどれくらい受注を見込めるのかの予測等、営業管理として利用しています。
これまで ASEAN においては営業管理を行うプラットフォームが存在していなかったため、複数の国の営業情報をまとめてマネジメントし報告を上げるためには各国にヒアリングをするところから始めなければならず、非常に時間がかかっていました。現在は、各国で共通して利用できる登録フォーマットに営業担当が最新情報を入力する運用を行っているため、集計は一瞬で完了し効率の良いマネジメントができています。
営業における情報の可視化/共有の大切さに改めて気づくきっかけに
リアルタイムで営業の状況が把握できることはマネジメントを行う上で非常に重要だと感じています。日々の営業活動は報告としてまとまるなど、一定の状態に達するまではどうしてもその担当者の中だけに留まりがちです。負のスパイラルに陥ることも少なくありません。わずかなヒントで打開できるかもしれないのに、それはとてももったいないことです。
こうした時、上司などからのアドバイスや情報が山を乗り越えるきっかけとなることは珍しくはありません。チーム全体で営業力を強化していくことが Sansan を通じて実現できる、そう実感しています。
海外市場の開拓を加速していく上で、ナショナルスタッフとの情報共有の
プラットフォームをしっかり確立していくことが非常に大事だと考えています
ナショナルスタッフも同じプラットフォームでコミュニケーションを
シンガポール法人では現在、東南アジア管内5ヵ国で Sansan の導入・運用を行っています。名刺情報やコメント入力の責を担っているのは全26人のスタッフたち。もちろん日本人だけでなく、各国のナショナルスタッフも日々の営業活動に関して、データ入力を継続しています。
弊社は創業当初よりいち早く海外展開を行い、海外における売り上げ比率が高いことも特徴です。今後更に海外市場の開拓を加速していくにあたり、ナショナルスタッフとの情報共有のプラットフォームをしっかり確立していくことが我々にとって非常に大事だと考えています。その点、ナショナルスタッフの特性も鑑み、彼らが使いやすいよう自分たちで簡単に設計ができる点も高い評価につながっています。レポートや案件情報の入力フォームは全て英語のメニューに統一し、製品情報等も予め登録することで出来るだけ営業担当の入力負荷を減らす工夫もしています。
私事ですが、今年でヤマザキマザック入社から満20年となりました。国内営業を経て、2011年にインド、16年にタイ駐在となりました。赴任当時は第一線で営業活動に関わっていたので、各種情報の共有化にそれほど意識は向きませんでした。無理もないかもしれません。そして、21年末よりシンガポール統括法人に Deputy Managing Director として着任するにあたり、さまざまな問題に直面しました。各国法人や拠点が何をしているのか見えない、仕事が見えないという事態です。これには流石に当惑しました。どうしたら良いのかと。
こうした時に出会ったのが Sansan です。当初は名刺管理という限られた利用方法だけしか思い浮かびませんでしたが、導入後のサポートもあり前述のようにさまざまな効用があることが分かってきました。今後のさらなる機能の拡張にも期待しています。
Yamazaki Mazak Singapore の全社員