MOVE (THAILAND) CO., LTD.
タイでの人脈が日本で5件の受注に
拠点・事業を超えた顧客情報の共有で組織営業力を強化
山梨県甲斐市に本社を置くIT企業株式会社コンピュータムーブは、1983年9月の設立以来、学校法人や民間企業向けにシステム開発・販売を行っています。タイ法人が設立されたのは15年5月。日系企業が盛んに進出し、生産現場でさまざまな自動化や省人化が求められていた時機でもありました。日本、上海、タイの3拠点で事業を展開する中、Sansanをどのように活用されているのか伺いました。
目 的
- 名刺情報の適正管理と共有化
- 顧客履歴の掘り起こし
- 組織営業力の強化
課 題
- 属人化しない情報管理
- 顧客・案件情報の可視化
- 本社・外部拠点との連携強化
効 果
- 負荷のない情報共有の実現
- 顧客接点の拠点間共有
- 外部システムとの連携可能性
顧客プラットフォームの構築で
組織営業力の強化につながりました
[ お話を伺った方 ]
Managing Director 秋山大典 様
Technical Department / Technical Manager 小林雅也 様
社員数の増加やコロナ禍の在宅勤務により、
メンバーの日々の動向が把握できなくなっていました
事業内容について
当社は創業以来、私立学校や民間企業を対象にITの面から学校経営や企業経営の戦略づくりをお手伝いしてきました。そのためのシステム開発やパッケージ製品の選定・納品などを行い、日本国内の私立学校や大手自動車メーカーなどこれまでに4,000件以上の納入実績を持っています。
タイ法人の設立は、取引先のタイ進出に伴いシステムの移管、サポートの必要性が増したことがきっかけでした。日本からの出張ベースでは限界があり、顧客のより近い場所でサービスを提供することになったのです。
タイでは当初、当社の強みである学校案件の新規営業を試みましたが、多数存在するインターナショナルスクールについては決裁権がそれぞれの本国にあることから進展が望めず、6,000~7,000社とも言われるタイの日系企業向け、とりわけ工場や現場を持つ製造業を中心に営業活動を行うことにしました。以後、自動化や経営の合理化、生産現場の見直しを模索する日系企業のサポートを業務の柱としています。
Sansan導入のきっかけ
15年5月にタイ法人を立ち上げ、次第に日本人やタイ人の社員が増えてくる中で、私自身が管理業務などによって多忙となり、メンバーの動向が少しずつ把握できなくなってきたことが背景にありました。日々の営業活動も担当者に任せきりの状態です。あの案件はどうなったのだろう。彼らは今、何をしているのだろう。といった疑問が常態化するようになったのです。
20年3月から始まったコロナ禍がこれに追い打ちをかけました。行動が規制され、自宅勤務を余儀なくされる中、いよいよメンバーの動向が見えにくくなってきました。強い危機意識を感じるようになり、仕事の進捗状況や個々人の動向を把握できるツールはないかと探したところ Sansan の存在を知りました。
導入を検討したアプリは他にもありましたが、いずれも機能面でいま一つ。その中で、Sansan は海外においても手厚いサポート体制に加え、英語はもちろんのことタイ語にも対応している点が決め手となりました。また、名刺情報の登録にとどまらず、商談の内容なども合わせて入力できるレポート機能で現場に負荷をかけずに情報共有ができると確信し、費用対効果も高いと判断しました。
いつでも誰でも状況を把握できる顧客プラットフォームの構築で
社内の見える化が一気に進み、組織営業力の強化につながりました
導入後の効果
導入したのは21年11月です。まずは私を含め、営業とサポートの5名で利用を開始しました。当時はまだコロナ禍にあり、新規顧客を開拓できる状況にはありませんでした。そこで試みたのが、過去の営業履歴の掘り起こしです。これまでの成約に至らなかった顧客情報、案件情報を全て登録することにより、いつどのような案件があり、なぜその案件がストップしたのかが見える化し、営業ターゲットが明確になりました。
こうしたアプローチは、ステップアップを求めて転職を繰り返す人的流動性の高いタイ社会では極めて有益です。退職する前任者がどこまで後任に引継ぎを行うかは不透明です。そんな中、Sansan は名刺をスキャンするだけでそれが瞬時にデータ化され、ヒアリング情報の追加や進捗のアップデートも行える。いつでも誰でも状況を把握できる顧客プラットフォームの構築により社内の見える化が一気に進んだことで、組織営業力の強化にもつながりました。
社内への浸透
もちろん、当初から全てのメンバーが精力的にデータの入力を行ったわけではありません。たとえ社内であっても、自分の顧客情報を他人に共有することに抵抗を感じるメンバーもいたかもしれません。大切なことは、メンバー全員に、結果として自分たちの営業に役立つものであると認識してもらうこと。そのためには、上に立つ者が率先して日々入力をすることが欠かせません。私自身が、メッセージ機能を使ってメンバーひとり一人にコメントを送るなど関係を密にする努力もしました。こうして、組織の一体感とデータ化の進捗が促進できたのだと思っています。
タイ人メンバーにとって情報入力はタイ語のほうが使い勝手は良いかもしれませんが、当社では名刺データのほか、商談、案件情報の全てを英語で統一しました。なぜなら、将来的にタイ以外にも拠点を構える構想があり、加えて日本本社との業務の連携も強化していこうと考えていたからです。ただし、ローカル企業によってはタイ語標記の名刺しかない場合もあります。Sansan は、名刺のデータ化言語としてタイ語にも対応しているため常に助かっています。多言語対応はグローバル時代にはなくてはならないものです。
タイでの人脈を活用し、顧客の帰任時に当社の日本の営業担当へ
紹介を行ったことから5件の受注につながりました
他拠点への利用展開
進める必要性が増しました。タイでの顧客は工場や生産拠点を持っている企業が多く、日本は学校や公共向けのシステム開発がメインのため、顧客層が異なり、タイにおける人脈はその他の拠点における新たな機会創出となるだろうと感じていました。
そして、タイでの導入から一年後には上海および日本のメンバーも試験的に Sansan を利用するようになり、顧客情報が海を越えて連携するようになったのです。その結果、拠点間の営業担当者の紹介から新たな案件につながるケースなどが出てきて、23年10月には日本本社、東京支店、大阪支店それぞれの営業にも導入を拡大し、現在は13名で利用をしています。
実際に、タイでの人脈を活用し、顧客の帰任時に当社の日本の営業担当へ紹介を行ったことから5件の受注につながりました。これまでに30件ほど紹介を行っています。海外では狭い世界で色々な人とコネクションを作ることができます。タイでの接点を日本に展開することで、帰任後の役職が高い顧客からの紹介も受けやすいという利点があります。海外で受注に至らなくても、日本での受注、さらには最終的に海外での受注につながることを目指しています。Sansan はそのために有効活用できています。
名刺のスキャンだけで将来顧客になるかもしれない
未受注企業のリストが瞬時に出来上がるのが
Sansan の最大にして他にはない活用法だと思います
具体的な活用方法
実際に使い始めると、さまざまな用途に活用できることが分かってきました。手軽にメモ帳代わりに顧客情報や案件情報を保存することもできれば、案件情報をエクセルに落とし込んで簡単に見積書の発行もできます。
また、当社では Sansan の機能にあるタグを積極的に活用しています。新規や継続のタグ、業界ごとのタグ、システムの内容に応じたタグ。設定したタグごとにリストを出力することで効率の良い営業を行うことができ、案件管理や人脈の拡大に非常に役立っています。
日本本社では、メールマーケティングという新しい切り口での活用にもつながっています。新システムや事例紹介などの情報発信を日頃から行うことで、顧客接点を絶やさない工夫をしています。ここで重要なのは、名刺をスキャンするだけで将来顧客になるかもしれない未受注企業のリストが瞬時に作成できるという点です。これこそが Sansan の最大にして他のサービスにはない活用法だと思います。
案件管理を別のアプリケーションで行っている日本本社では今後、「Sansan Open API」を活用し、Sansan の情報をこのシステムに連携することを検討しています。Sansan でデータ化された正確な顧客情報を連携することで、システム側の正規化が進むことを期待しています。これからも Sansan を軸として国内、そして国を跨いだ営業情報の共有によるシナジーを最大化できるような活用を進めていきたいと思っています。