SUZUYO (THAILAND) LTD.
物流業界ならではの営業課題を克服
タイ人営業職の育成と、営業生産性の向上を実現

220年以上にわたり、物流を中心とした事業を展開する鈴与株式会社。グローバルでは13ヵ国に22拠点を有し、タイ現地法人である Suzuyo (Thailand) Ltd. は1992年に設立されました。2022年8月から Sansan を利用する同社に、導入前の課題や活用方法について伺いました。
目 的
- 日本、海外8ヵ国にわたる顧客データベースの構築
- 営業活動の可視化を通じたタイ人営業職の育成
- 名刺データを活用した海外でのデジタルマーケティングの展開
課 題
- 顧客情報の属人化
- タイ人の事業責任者や日本本社にいる決裁者へのアプローチが困難
- 商談前の営業準備やメルマガ配信にかかる時間浪費
効 果
- 商談前の営業準備やメルマガ配信作業の大幅な効率化
- 他拠点との迅速な情報連携による、受注率の向上
- 国を跨いだ情報共有による新たな営業アプローチ機会の創出
現地化に対応すべく、タイ人営業職の育成と
営業戦略の策定に寄与
[ お話を伺った方 ]
PRESIDENT 橋本龍太様
SALES & MARKETING DIVISION ASSISTANT MANAGER 杉村春紀 様

現地化が加速する中、Sansan は
タイ人営業職の育成において重要なインフラとして機能しています
事業内容について
当社は1801年の創業以来、220年以上にわたり物流を中心に事業を展開してきました。国内外に約140社のグループ会社を有し、国内物流から国際物流、DXまで幅広いサービスの提供により、効率的で高品質な物流体制の構築を支援しています。
コロナ禍で重要性が増した
顧客関係の可視化
杉村様 タイ拠点では、コロナ禍による行動制限が解除され始めた2022年8月に利用を開始しました。従来、駐在員の定期的な入れ替わりは行われていましたが、パンデミック下では通常以上に顧客の帰任や当社の人事異動が相次ぎ、顧客との過去のやり取りや関係性が希薄化していました。誰がどの頻度でどの顧客にアプローチしているかを可視化することで、タイの現地決裁者への精緻なアプローチを実現することが、Sansan 導入の背景にありました。
Sansan が支えるタイ人営業職の育成
橋本様 当社のタイ人社員の多くが Sansan を活用しており、交換した名刺をデータ化するという運用がしっかり定着しています。その背景には、物流業界の特性が影響していると考えられます。在タイ日系企業では、約10年前まで日本人が決定権を持つことが多かったですが、現在ではその権限がタイ人に移り、キーパーソンもタイ人になりつつあります。営業現場においてもタイ人が主体的に動く必要があるため、タイ人の営業職を徹底的に育成し、タイ人キーパーソンへの営業実績をもとに、日本人を含めて戦略会議を行い、次の戦術を練る形に変化してきています。このような状況の中で、Sansan は、営業戦略の策定やタイ人営業職の育成において必要不可欠なインフラツールとなっていることは間違いありません。
物流業界では、誰がどこで会ったかという接点情報が
営業成功の重要なポイントとなります
営業生産性の向上に寄与
杉村様 以前は、現在進行中の取引先情報を追跡することはできたものの、単に挨拶をしただけ、名刺交換をしただけ、といった相手の特定は難しく、過去の担当者に記憶をたどってもらっても、返答に数日要することもありました。しかし、Sansan 導入後は各担当者が持っていた情報が社内で共有され、過去の訪問履歴や名刺交換履歴を基に迅速に取引先との接点を確認できるようになりました。その結果、かつて約20分ほど費やしていた商談前の準備時間が削減され、効率的な営業活動が展開できています。
橋本様 現在、日本発着の商材は減少する中、日本以外の各拠点間での情報連携が日常的に電話やメールで行われています。新規顧客へアプローチする際は、グローバルでの取引状況を把握することが成功の鍵となります。Sansan の導入により、各拠点間の情報連携がより迅速になり、営業生産性の向上に寄与しています。


接点の可視化により、
誰もが平等にチャンスを得られる営業環境になりました
物流業界における名刺情報の価値
橋本様 現在、タイ拠点が Sansan に登録している数千枚の名刺は主に営業部が集めたものですが、各倉庫の拠点長や輸送部門やフォワーディング部門のマネージャーたちも重要な名刺を保有しています。特に、工業団地内のタイ人キーパーソンや、仕入先、納品先との繋がりは、我々にとって新たな顧客となり得る非常に重要な情報です。そのため、今後は営業部以外からの情報集約も進めていきたいと考えています。
情報の一元化による
グローバルサービスの強化
橋本様 全社的なデータベースが構築されたことで、日本本社から、グローバルサービスに関する情報を顧客に発信し、興味を示す方が現れた場合に本社からタイ側へ繋ぐ体制も整いつつあります。グローバルな物流や調達、製品の輸出においては、意思決定権が日本本社にあることもあり、タイ拠点単独では決定できないことも少なくありません。日本の担当者にアプローチが必要な場合など、タイにいる私たちでは直接たどり着けないケースも生じます。こうした課題に対し、各国の個人情報保護法に準拠した名刺情報の適切な活用が進めば、よりターゲットを見極めた戦略を立てることが可能になるでしょう。
名刺管理の枠を超えたデータ活用
橋本様 以前はトップセールスパーソンの強みとされていた社内外の人脈も、Sansan の導入により全社員が同じ情報にアクセスできるようになったことで、公平な競争環境が整いました。誰もが平等に同じチャンスを得られるというのは大きな変化です。
我々は、営業先の情報をホームページや企業情報などから事前に集めて商談に臨んでいますが、Sansan は、日本の企業データベースと紐付けることも可能です。さらに、営業担当者のリアルタイムの動きと、歴代担当者の過去の動きを掛け合わせれば、営業の精度が飛躍的に向上することは間違いありません。それこそまさに「営業DX」であり、単なる名刺管理を超えた顧客データの一元化こそが、Sansan の理想的な使い方だと考えています。

▶日本本社 海外事業マネジメント室での取材
同社は、日本およびタイ拠点で導入している Sansan を、2024年8月にASEAN 5ヵ国(タイ、シンガポール、インドネシア、フィリピン、マレーシア)、アメリカ、メキシコ、中国へと利用拡大しました。その背景や今後期待する効果について、日本本社の海外事業マネジメント室のお二人に伺いました。
グローバルな営業・マーケティング体制
に向けた基盤を構築
[ お話を伺った方 ]
鈴与株式会社 海外事業マネジメント室 石井拓哉 様
鈴与株式会社 海外事業マネジメント室 業務推進役 寺田彩子 様

各国へのメルマガ配信準備に1ヵ月ほどかかっていましたが、
今後は効率的にデジタルマーケティングが実施できそうです
業務効率化がもたらす
新たな営業戦略の展開に期待
石井様 今回の利用拠点拡大で期待される成果は以下の3点です。1つ目は、駐在員と現地のスタッフ間での名刺共有が進むこと。2つ目は、蓄積されたデータを活用してデジタルマーケティングの実施が可能になること。3つ目は、これらを元にグローバルな営業体制を強化する基盤を作ることです。
Sansan 導入前は、各国の営業担当者が拠点ごとに手作業で Excel やスプレッドシートを使い、名刺情報を個別に管理しており、全社的なデータベース化は進んでいませんでした。さらに、個人が保有する名刺情報は退職時に十分引き継がれないなど、会社の資産として残らないという課題も抱えていました。名刺データが分散していたことにより、営業メールやコラム配信など、デジタルマーケティング施策の実施が難しい状況にありました。
しかし、タイ・日本国内において、Sansan を活用した営業活動とデジタルマーケティングの成功事例が出てきたことから、これを他の海外拠点にも展開するべく、Sansan の利用拠点を拡大する決断に至りました。現在では、ASEAN 5ヵ国、アメリカ、メキシコ、中国へと導入を拡大しています。DX化が進む中、システム担当者に英語話者が少ないことから、駐在員への負担が避けられない状況でしたが、Sansan は海外拠点での導入に際し、現地スタッフへの説明やマニュアルを多言語で対応してくれたため、大変助かりました。
寺田様 従来、各国のメルマガ配信は、手動でデータを取りまとめ、ターゲティングを行い、リストを抽出して Bcc で配信するという手間のかかるプロセスを経ていました。名刺データの整理とターゲティングだけで2~3週間を要し、配信準備も含めると1ヵ月に及ぶこともありました。その結果、リストの更新は滞り、メルマガの配信頻度は2~3週間に一度にとどまっていました。今回の利用拠点の拡大で、この作業工数が大幅に削減され、メルマガ配信をより効率的かつ気軽に行えるようになると期待しています。
石井様 Sansan の導入により、グローバルな営業体制を強化する基盤が整いました。今後も拠点間での情報共有を促進し、ビジネス成長を加速させるための取り組みを続けていきます。
※本資料は2024年11月に作成されました。掲載されている内容は作成時点の情報です。