DAIICHI JITSUGYO (THAILAND) CO., LTD.

文化や習慣の壁を超え、7ヵ国で Sansan を導入
名刺情報の一元管理で実現する持続可能な組織運営

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グローバル17ヵ国35拠点にネットワークを持つ機械専門商社、第一実業株式会社。そのタイ現地法人である Daiichi Jitsugyo (Thailand) Co., Ltd. は、1995年に設立されました。2019年6月には、タイをアジアエリアの中心拠点として Sansan の導入を推進し、域内7ヵ国10拠点への一括導入を実現。導入から4年が経過した現在、同社が主導する海外拠点での活用状況について伺いました。

目 的
  • 名刺情報・顧客データの蓄積と資産化
  • 引き継ぎの効率化
  • 持続可能な組織の構築
課 題
  • 手作業での名刺整理に伴う非効率な時間消費
  • 名刺情報・顧客データの属人化
  • 個人の知識や経験に依存した営業体制
効 果
  • 名刺整理にかかる作業時間の大幅な短縮
  • 組織全体での顧客接点の有効活用
  • 属人化の解消による組織力の強化
顧客データの蓄積で
持続可能な組織運営を目指す
[ お話を伺った方 ]

幸村洋希様 DAIICHI JITSUGYO (THAILAND) CO., LTD. Manager

はじめは名刺共有が進まず、
顧客情報の属人化が課題でした

導入当初の課題

名刺情報の蓄積と引き継ぎの効率化を目的に、2019年6月にアジア7ヵ国10拠点に Sansan を導入しました。現在は Sansan に馴染みのある日本人スタッフだけではなく、現地スタッフも一人当たり数百枚単位で名刺情報を取り込んでいます。特にベトナムとインドネシアの現地法人では新規顧客開拓を積極的に進めているため、名刺の取り込み枚数が他の拠点に比べて多く、ログイン率や利用率も高い状態が続いています。

今でこそ Sansan の運用は定着していますが、導入の道のりには大小さまざまな障壁がありました。例えば、いわゆる「個人商店」的な営業スタイル。当社では案件の引き合いから交渉、納品までを特定の担当者が一貫して担うケースが多いため、「このお客様は DJK ではなく、自分についている」と考える社員もいました。そうした社員は名刺をなかなか共有したがらず、顧客情報の属人化が課題でした。

また、例えばインドでは、ある程度の役職以上でないと名刺を作らない企業や、入社して間もないスタッフには個人の名刺やメールアドレスを持たせない企業もあります。これは、人の入れ替わりが激しく印刷や管理のコストがかさむことや、退職時に顧客を持ち去ってしまうリスクがあること、相手がある程度の役職未満の場合には名刺を渡さないケースがあることが理由です。このように営業目的で面談を実施しても相手の情報が名刺という形では得られなかった場合、Sansan で名刺を取り込んで情報共有することができません。

このような事情から、Sansan 導入当初は必ずしも積極的に活用される状況にはありませんでした。

様々なアプローチで導入を推進

これを受けて、大きく3点の対策を実施しました。

1点目は、運用担当者による各拠点での導入説明会、シチュエーション別の便利な活用方法の配信、名刺取り込み数ランキングの表彰など、利用を促進するための活動を行ったことです。色々と試行錯誤しましたが、特に名刺の取り込み実績としてアクティブユーザーが1ヵ月間に入手した名刺の枚数を発表したことがユーザーにとって刺激になったと思います。上位にランクインしている社員は高いパフォーマンスを発揮しており、名刺の取り込み数とパフォーマンスの相関関係も見られました。

2点目は、全拠点において、職群や職責にかかわらず新しく採用した社員全員に入社後すぐに個人の名刺を持たせたことです。管理工数と経費の増加にはなるものの、対外活動をする際、こちらが名刺を持っていること、つまり「会社から名刺を持つことが認められている」ことを示すことで、相手も名刺を持っている職責の方が対応してくれることが多く、コンタクトの獲得増につながりました。

3点目は、アジアエリアの上層部から、「情報共有が会社全体の利益につながる」と名刺管理の重要性を根気強く説いたことです。これまで営業の第一線で活躍してきた上層部の発言はその方の経験と功績に裏打ちされており説得力があったため、意識の変化につながりました。

新型コロナウイルスの蔓延を機に、
非対面での名刺交換が普及

このような取り組みによって Sansan が徐々に浸透してきたころ、新型コロナウイルスの流行により、対面での営業活動が大幅に制限されてしまう事態が発生しました。コロナ禍で新規コンタクトを増やすことは難しく、日々の名刺取り込み数は一時的に減少してしまいました。誰もが苦労と不便を経験した期間でしたが、Sansan が提供するオンライン名刺機能や、オンライン会議のバーチャル背景に名刺交換用のQRコードを表示する機能などが大きな助けとなり、対面でなくても名刺交換が可能な環境を整えることができました。

展示会後の集計やリスト作成にかかる時間が大幅に削減されました

展示会後の業務を効率化

Sansan の導入が大きく貢献している活用方法の一つとして、展示会での名刺情報管理があります。Sansan を導入する前、特に大変だったのが展示会後の名刺整理です。展示会のようなイベントでは名刺を一度に大量に集めることになりますが、以前は手作業で電話番号やメールアドレスを入力し、リストを作成していました。この作業には膨大な時間がかかるだけでなく、入力ミスがあった場合、一文字違いでメールが届かないなど、機会損失につながることもありました。

しかし、Sansan を導入してからは、展示会場で名刺を受け取ったその場でスキャンするだけで高精度なデータができるため、展示会後の集計やリスト作成にかかる時間が大幅に削減されました。また、展示会名で作成したタグを活用することによって名刺情報の整理や一斉メール配信を行うことができるので、イベント終了後のフォローアップも迅速かつ効率的に行うことが可能になりました。

過去の訪問履歴を活用することで、
休眠顧客にアプローチしやすくなりました

名刺情報の活用で商談化率を向上

名刺をデータ化することで、名刺情報を効果的に活用でき、商談のアプローチ成功率が向上したと感じます。ここでいう「名刺情報」とは、名刺に記載された情報だけでなく、「誰がいつ会ったのか」という顧客接点の履歴も含まれます。休眠顧客に再度アプローチする際、過去の訪問履歴をもとに「3年前に訪問させていただきましたが、もう一度お話を伺えませんか?」と伝えることで、顧客の親近感を得て、再度の商談につなげやすくなりました。

人材の流動性が高まる中、名刺情報を常に活用できる仕組みを整え、
持続可能な組織体制を構築することが重要です

時間と場所の壁を超えた情報共有を実現

「こういう人知っていますか?」と聞かれ、保管している名刺情報を共有するのは、従来から当然のように行われてきたことです。しかし、Sansan を導入したことで、自席周りの同僚に聞いて回るだけではなく、会社全体の人脈のデータベースに時間や場所を問わずアクセスできるようになった点が、最も大きな違いだと感じています。

以前、名古屋で営業していた際に名刺交換をしたお客様について、東京の同僚から問い合わせを受けたことがありました。その際、Sansan を活用することで、当時の名刺情報だけでなく、お客様とのやり取りの履歴まで瞬時に共有することができ、迅速かつ的確な対応につなげることができました。これまでのような名刺フォルダーによる管理では不可能だった、時間と場所の壁を超えた情報共有が、業務効率や営業成果の向上に大きく寄与しています。

CRM連携で更に効率化

今後は、Sansan とCRMシステムである kintone を連携させることを構想しています。kintoneでは、顧客マスター、仕入先マスター、案件リスト、活動リストをリレーショナルデータベースとして管理し、各データが相互にリンクされることで、必要な情報に簡単にアクセスできるようにしています。

顧客マスターと仕入先マスターがデータベースの礎になるのですが、その整備の際、Sansan の情報が非常に役に立ちました。Sansan 経由で取り込まれた企業情報は正確性が担保されているため、顧客マスター・仕入先マスターを作成するにあたりデータを新規作成する必要がなく、Sansan に取り込まれている情報をそのまま活用することができるのです。今後は企業や個人の情報そのものは Sansan、具体的な案件の内容や取引実績は kintone に蓄積することにより、さらに情報基盤の強化と業務効率化につなげたいと思っています。

顧客データの蓄積で持続可能な
組織運営を目指す

Sansan のおかげで、人と人が点でつながっていたものが面でつながるようになり、組織力が強化されました。かつては、「あの人に聞けば何でも解決してくれる」というのがデキる商社パーソンの代名詞で、一人で何でもこなせるスーパー営業担当者が重宝されていました。しかし、世界的にみても人材の流動が激しい昨今においてはその傾向も変わってきていると感じています。エース社員に依存する会社は、裏を返すと組織としては弱いということだと思います。

豊富なデータを取り込み、それをいつでも活用できる状態にしておくことで、事業継続性の高い体制を構築することが重要です。その強力な推進ツールの一つが Sansan だと思っています。

※本資料は2024年11月に作成されました。掲載されている内容は作成時点の情報です。